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March 02, 2005

これはさすがに驚いた

いやぁ、世の中には同じことを見ていて、かつそれぞれロジックも通っていて、なのにまったく違う結論を出す人もいるのだなぁ、と。ちょっと長くなるけど、引用させていただく。

日本社会でいちばんマズイ話(フェティッシュジャーナル)
 

ジジイ、ババアの国で、堀江がしているのはフジサンケイグループにおいて社員のジジババに支払われ続けている、平均年収1000万を超える高給をリストラし、ライブドアのように平均年収400万に若返らせることだ。そうすれば企業としての魅力は増し、高く売り抜けることができる。
 そうしたプロセスで割を食うのはもちろんじじいばばあ、奥田に代表される財界の高齢者たちだ。なぜならリストラされるから。もらってきた既得権益=高給が、いまや堀江に脅かされている。
 奥田がいう「日本社会」とは、一面的には「じじいばばあが高給をもらえる社会」のことである。堀江の行動が「いちばんマズイ」のは、自分たちの給料、退職金、年金などの金銭給付が減ってしまう話だから、マズイ。
 (中略)
 もう一つの対立は世間の王道を行く連中対天の邪鬼連中であろう。堀江世代=私世代。私と堀江は同い年。受験勉強就職活動人口過剰でいつも大競争。中学時代はいじめ、自殺がブーム。バブル崩壊で就職氷河期。社会に出ても暗い90年代。急増する税金、社会保険料と、将来削られ続ける年金。その一方で、退職金で豪遊しようとする団塊世代。もちろんこうした世代のなかにあっても、それこそ大卒後、(早大卒にもかかわらず私は入社試験で落とされたのだが)フジサンケイグループに入社して高給をもらう同世代組というのはいるわけであり、そうした連中にいかに勝かが私らのもはや「生きるテーマ」(さもしいと謂われようがなんだろうが)となっている。
 そういう私ら天の邪鬼組のひとつの礎が「金がすべて」というモラルである。
 (中略)
 それは素直なまじめなよい人柄、家柄の、同世代の王道勝ち組の価値観からは決して生まれない天の邪鬼の哲学でもある。
 ホリエモンは、世代間対立ともう一つ、こうした同世代内の価値観の対立があることも照明した。

 先日も書いたことだが、メディア企業に代表されるような、規制に守られてきた業界の団塊世代の高給や年金を、下方圧力に晒すべきだというのには完全に同意する。
 しかし、そうしたリストラクチュアリングで浮いた財は、どこに配分されるべきなのか。メディア企業で言えば、外注先の制作会社で時給900円以下で酷使されている若い派遣労働者にこそ、まず第一に配分されるべきだろう。

 しかし、堀江はそんなことをするだろうか。
 いままでの姿勢を見る限り、それはありえない。それどころか、外注先を徹底的に叩いて叩いて、固定費をできるだけ圧縮しようとしてくるだろう。それが利益率の増大と、株価の上昇に繋がるから。

 団塊世代が溜め込んだ財を分捕ったあと(そこまでは正当な行為だと僕も思う)にせいぜいすることといえば、すべからく戦利品をハゲタカと山分けした上で、六本木ヒルズでミス・ユニバース(やっぱシャロン・ストーンに能天気に感激してた!何とわかりやすい)と酒池肉林を繰り広げるだけのことではないか。

 そうである限り堀江は断じて、敵の敵としての味方ではない。
 現状より悪い時代の扉を開ける可能性が高い破壊者を、僕は歓迎しない。(既得権益に対する「破壊者」としての役割だけでホリエモンは十分有意義ではないか、という意見に僕は50%ぐらいしか与しない。ちなみにそう言っている有力な論者は、宮台氏である。これは、日本を「民度」の高い状態に引きずり上げるためには、一度ネオリベラルな世界を通過する必要があるという彼の年来の主張とは完全に適合的な立場。この戦略論を僕は是としないが、いまそれを論じるだけの力はもっていないので保留)

 多くの「“ニート”や“引きこもり”のような、堀江社長とは対照的な「負け組」の若者たち、あるいは決して「勝ち組」ではない若者たちが、堀江社長の姿に、単なる羨望を超えた一種のシンパシーを寄せているように思われる」のだとしたら、それこそがこの社会の抱える本当の悲劇だ。
 あえて言うなら、「一億総中流」なんちてのほほんとした時代が終わり確実に階層化社会が到来しているのに、戦後60年の間に確実に壊れた階級意識(これは事実としての「階層」とはまったく次元の違う話だ)という受け皿がないために、階級という利害の対立軸をまったく自覚化することができず、すべての問題を世代間対立としてしか焦点化することができない、ということなのだろう。

 しかし、それにしても、上に引用したブロガーは、そんなことまですべてわかった上で、それでもなお堀江を支持しているのだろうな。

 自分のことを言うのもいやらしい話だが、一度は血迷って僕の立ち位置をはっきりしておこう。

 首都圏の一戸建て持ちの家に生まれついたという幸運のおかげで、住む場所には困らない環境にあるとはいうものの、いまだかつて将来が見通せる職についたためしはないし、今後の見通しも恐ろしく暗い。妻も似たような状況だ。
 おまけに、無計画に二人もガキを作り(もちろん、低所得の親を持つこいつらの乳幼児医療費はタダだ)、先々のことなど怖くて考えることもできない。

 だからこそ、「年収300万円層」(@森永卓郎)というアイデンティティを持っているし、逆に、このぐらいの所得水準でダラダラと人生を楽しむ術を模索しつつある。年収1000万円ある連中が、「1500万円よこせ」と怒鳴ることも、1500万円取るために粉骨砕身「自己投資」する感覚も、まったくもってわからないというのが本音だ。
 しかし、300万円台の年収が200万円台に削られてゆくことには抵抗したい。抵抗しないと端的に生活ができないからだ。(まあそれでも夫婦両方にそれだけの収入があれば何とかならんでもないが) そして、自分たちの生活というだけでなく、多くの庶民の給料が300万円台から200万円台に削られゆく流れに、異議を申し立てたいと思う。

 「同世代の王道勝ち組」とは到底言えない僕が導き出した答え、というより人生の指針は、こうだ。
 しかし、上のブロガーは似たような(推測)状況の中で、「金がすべて」というモラルを導き出したという。年収300万円台の生活を必死に守ることよりも、一発逆転で六本木ヒルズで豪遊する人生をツモる可能性に賭けたいということなのだろう。

 これはもう、信仰する神の違いとしか言いようがない。
 この違いは確かに「人柄」とか「家柄」(全然そんな大したものではないが、幼少期からの成長過程というぐらいの意味で)とかに帰着しなければならない問題なのかもしれない。
 
 しかし僕は、カイジやアカギが自らの肉体や血液を賭けて数億円を獲り合うような社会よりも、善良な羊たちがほのぼのと必要最低限な草を食むような社会に住みたい。書いていて我ながら情けなくなってくるけれど、本当にそう思う。
 そして、多くのこの社会の住民が、まだ僕と同じ価値観を持っているようにと、強く願う。

(今日のエントリは書きながら非常に気が動転してしまった。しかし、迷いましたが、とても大事なことなのであえて公開します。自分のとてもやらかい場所を曝け出している文章なので、僕のアイデンティティについてコメントがついても、今回に限ってはあまり回答しないかもしれません)

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追記:

引用したブログのこんなところを見ていくと(特に「階層縦断的発言者」とか「ブッシュ米大統領再選、そして……」とか)見ると、現状認識や価値観にも、ほとんど差異はないように感じた。引用文を僕が誤読している(or僕のバックグラウンドのどこかのせいで、必然的に誤読せざるを得ない)のか、むしろここまで認識が似通っているのにどうして最後の部分で違う解を導き出してしまうのかをこそ考えなければいけないのか、はわからないが。いずれにしてもこの辺は、ごく私的な備忘録です。

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Comments

Todo dinбmica y muy positiva! :) http://www.freepornmpk.com/ Edwas

Posted by: Edwas | June 28, 2010 at 04:49 AM

Greatings, ЎGracias! Ahora me irй en este blog cada dнa! http://www.affhtc.com/ Ivan

Posted by: Ivan | July 11, 2010 at 04:16 AM

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