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June 17, 2004

おっきいからキライ?

というのは、うちの娘の口癖である。
「なんでキライなの?」と聞かれて答えに窮すると、ぜんぶ「おっきいもの」とカテゴライズしてしまう。大好きなママはいつも「ちっちゃい」のだけど、キャンキャン吠える親戚の家のミニチュアダックスは「おっきいからキライ」。ちなみにパパは、虫の居所によっておっきくなったりおっきくなくなったりする。

で、彼女は最近テレビ・ニュースに出てくる単語に興味を示して、「きたちょーせん、どこ?」とか、「こーしゅみさん、どこいるの?」とかマセたことを聞いてくることがあるのだけど、「アメリカの王様はおっきいからキライ」という評価に落ち着いたらしい(笑) きわめてシンプルに合ってるような気がする。

そんななか僕は、どうしても家に増えてゆくディズニーグッズを前に、「ミッキーさん悪い子」というネタを懸命に吹き込もうとしてきたのだけど、それは常にカミさんに見つかると怒られることの一つ。
業を煮やしたカミサンはと妹は、娘をディズニーシーに連れ出した。当然の結果としてディズニーシーに大興奮した娘が、「ミッキーさん、悪いコないよ、いいコよぉ!」と僕に楯突くようになったのが約一ヶ月前。

しかし、その翌日にどんぴしゃのニュースが流れたんだな~、これが。ディズニー社に配給を止められていた「華氏911」のカンヌ受賞。これ幸いとばかりにパパの反攻。
「すっちゃんは、アメリカの王様はおっきいからキライでしょ」「うん」「あのヒゲのオジサンは、アメリカの王様は悪い子だってみんなに教えてあげようとしたら、ミッキーさんにいじめられちゃったの」「なんで、いじめられちゃったの?」「アメリカの王様と、ミッキーさんはすっごい仲良しなの」「なんで?」「ミッキーさんも悪い子だからだよ」「わかった」・・・

かくして娘はまたまた、ミッキーさんがいい子なのか悪い子なのかわからなくなってしまいました・・・というのはネタなのであまりマジに受け取らないで欲しいけど、大筋では結構深刻な寓話にもなっている、かな?

個人的には、ディズニーランドはあまり好きではない。だが、巨大資本の作り出すスペクタクルの幼児性を頭の中では揶揄しながらも、いざそれが眼前で展開され始めると、その圧倒的な快楽に酔いしれてしまう、という身体反応は非常によくわかる。

ディズニー社の着ぐるみやショーには僕の身体は反応しないけれども(単純に好きではないだけだろう)、ユーロ2004真っ最中のいま盛んに放映されているこんなものには僕の身体はきわめてナチュラルに反応し、幼児のようにキャッキャッと言ってしまう。

90年代中頃から展開されていたナイキの「超豪華スター競演CM」の系譜に、程なくアディダスが挑みだしてもう数年たつ。当初こそ、豪華なのは顔ぶれだけで二番煎じ的印象の強かったアディダスのCMだが、2002W杯のあたりからは、映像センスもナイキと互角になってきたんじゃないだろうか? 日韓W杯の"Fever Nova"キャンペーンでのジダンやバルデスが出るCMもよかったし、トルシエが出てる国内バージョンも最高だった。今回の"Road to Lisbon"も、とってもラフな作りで、心地いい。

ただ、いかにナチュラルにラフに作っていようが、このCMは、ナイキvsアディダスという、世界のフットボール・シーンを最終的なところで左右している(ex.フランスW杯決勝でのナイキによるロナウド出場強制疑惑!)とも言われる巨大企業間のグロテスクな縄張り争いの最前線でもある。
そのグロテスクさの一端は、出てくるスター選手たちの出で立ちを見ると一目瞭然だ。アディダスのユニを採用しているドイツ勢やフランス勢、スペイン勢が、代表ユニに身を包んでリスボンを目指すのに対し、ベッカム様やランパードらのイングランド勢、プーマの宣伝に起用されているイタリア代表の一員でもあるデルピエロ、ナイキ帝国の一角でもあるオランダのマカーイやポルトガルのルイ・コスタは、三本線のついた練習用のジャージや、無地のTシャツを着て、リスボン行きのスクーターに跨っている。
ちなみに、このCMにも登場するドイツ・フランス・スペインの「欧州アディダス三強」をはじめとした代表チーム、レアルやミランからアルビレックス、FC東京に至るクラブの双方において、アディダスにユニを提供されているチームが揃いも揃って、アディダス伝統の3本線を律儀に肩口やパンツに目立たせるデザインに変えてきたのも、そう遠い昔のことじゃないようなきがするんだけど、いかがだろうか? それに対抗したのか、ナイキも、例のマークだけでは飽き足らず、ブラジル、ポルトガル、オランダ、と次々に超目立つ②⑥みたいなマルで囲んだナンバーをフィーチャーし、ますます自社ブランドをアピールしているし。

もちろん、ナイキだのアディダスだのの巨大資本のグロテスクさを強調することで、彼らがいじくり回さなきゃフットボールももっと幸福なスポーツに戻れるのに、なんて素朴かつレトロスペクティブなことを言うつもりはない。それに何よりも、アディダスもナイキもなければ、"Road to Lisbon"や"Scorpion"みたいな「豪華」なCMに酔いしれることさえできなかったということは、忘れてはならない。

ただ、巨大資本の作り出すスペクタクルは、身体にきわめて強い浸透力を持つ快楽を作り出し、自分も含めた大部分の人間は本当にそういうものに弱い、ということだけは、ある種の気持ち悪さの感覚とともに自覚しておきたい。と、ただそれだけのことでしかないんだけど。
何のかんのいいながら、「地元に密着した」柏レイソルの試合を見るよりも、「巨大資本がショーアップした」ユーロ2004でのスペクタクルに数倍の快楽を見出してしまう、素直な自分の身体。もちろん、こんな二項対立もそれほど意味のあるものではないのだけれども、やっぱりふとこんなことをナイーブに考えてしまう。

そんな自分には、近鉄ファンに偽善的な同情を向け、ナベツネに憤る資格もないのかしらん。

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